近頃、糖尿病の患者さんが何故か多いです。
それも非常に悪化してしまって、糖尿病性ケトアシドーシスという状態になって来院されています。
通常の糖尿病では、高血糖により命を落とすことは殆どありません。
極稀に持続性の高血糖から、血管内が高浸透圧になり、脳が脱水してしまって糖尿病性の昏睡を起こすことがありますが、多くはケトアシドーシスになって体内の電解質のバランスを壊してしまって死に至ることのほうが多く、ケトアシドーシスは非常に危険な状態です。
このケトアシドーシスが来院すると、獣医師は寝れなくなります。
ケトアシドーシスが改善するまでは、夜中も1〜3時間おきに患者の血糖値を測定し、インスリンの量や点滴の組成などを調節する必要があります。
多数の検査を毎日していかなくてはいけないため、費用も高額になってしまいます。
ケトアシドーシスを脱することが出来れば、次は維持治療に入っていきます。
犬・猫の糖尿病では、一般的にインスリン投与による血糖管理が治療の基本となります。
人間では経口血糖低下剤や食事管理が第一の治療となりますが、動物ではそれで対応できる状態で来院されることは殆どありません。
また、糖尿病の発症の仕組みが人間とは異なるので、治療も変わってくることが多いです。
インスリンは1日に1〜2回、注射していきます。
また、ご飯の種類や量を一定にすることも大切です。
犬・猫の糖尿病治療で大事なことは、治療目標は毎日快適に、美味しくご飯を食べれて、体重や飲水量が安定していることであって、決して血糖値を150や200以下に1日維持することではないということです。
糖尿病の初期症状として、必ず多飲多尿と言って、お水を飲む量がすごく増えます。
この時期に発見してあげれば、長期の入院も必要なく、インスリン治療の導入にスムーズに入れますので、少し注意してみましょう。
また、この多飲多尿は多くの重大な病気の症状として見られますので、そのような場合には早めに獣医師を受診して、各種検査を受けたほうがよいでしょう。
2011年09月26日
犬・猫の糖尿病
posted by sora-vet at 17:44| Comment(0)
| 糖尿病
2011年09月19日
獣医学フォーラム
9月17日〜18日は臨時休診とさせて頂いて、東京の学会に参加してきました。
ここ数年は毎年参加させていただいているのですが、年々参加者が増えているように思われます。
また、参加者も若い先生や学生さんが増えて、自分も少しずつ年配のグループに含まれそうな勢いです。
今回のような大きな学会は年に数回ありますが、会場も10ヶ所程度が同時進行で行われ、興味のある分野に参加するというものです。
今回もいろいろな分野の講義を聞いてきましたが、その中に一般の飼い主さんも参加できる皮膚病のシンポジウムがありました。
そこで、飼い主さんと獣医師の間の考え方のギャップが大きいことに改めて気付かされました。
獣医師が一旦アレルギー、アトピー性皮膚炎と診断した場合は、きちんとした診断手順にで行われたものに関しては、治らない病気で、いかにいい状態に維持していくかということが治療の目標となります。
しかし飼い主さんの疑問として一番大きなものは、『この病気はいつ治るのでしょうか?』ということでした。
その疑問に対し、大学の先生もはっきりと『治らない病気ですが、いかに症状をうまくコントロールしていくかが治療目標です。』と答えていました。
また、特効薬もなく(強いて言えばステロイドだと思います)、それぞれの患者さんに合わせた治療になる病気ですので、誤解のないようゆっくりとお話させていただくことが大事だと再認識しました。
皮膚病についたはまた改めて書こうと思います。
学会の楽しみの一つに、昔お世話になった先生や同級生との再会というのがあります。
今回もいろいろな先生にお会いし、話ができました。
また来年も可能な限り参加したいと思います。
ここ数年は毎年参加させていただいているのですが、年々参加者が増えているように思われます。
また、参加者も若い先生や学生さんが増えて、自分も少しずつ年配のグループに含まれそうな勢いです。
今回のような大きな学会は年に数回ありますが、会場も10ヶ所程度が同時進行で行われ、興味のある分野に参加するというものです。
今回もいろいろな分野の講義を聞いてきましたが、その中に一般の飼い主さんも参加できる皮膚病のシンポジウムがありました。
そこで、飼い主さんと獣医師の間の考え方のギャップが大きいことに改めて気付かされました。
獣医師が一旦アレルギー、アトピー性皮膚炎と診断した場合は、きちんとした診断手順にで行われたものに関しては、治らない病気で、いかにいい状態に維持していくかということが治療の目標となります。
しかし飼い主さんの疑問として一番大きなものは、『この病気はいつ治るのでしょうか?』ということでした。
その疑問に対し、大学の先生もはっきりと『治らない病気ですが、いかに症状をうまくコントロールしていくかが治療目標です。』と答えていました。
また、特効薬もなく(強いて言えばステロイドだと思います)、それぞれの患者さんに合わせた治療になる病気ですので、誤解のないようゆっくりとお話させていただくことが大事だと再認識しました。
皮膚病についたはまた改めて書こうと思います。
学会の楽しみの一つに、昔お世話になった先生や同級生との再会というのがあります。
今回もいろいろな先生にお会いし、話ができました。
また来年も可能な限り参加したいと思います。
posted by sora-vet at 10:32| Comment(0)
| 日記
2011年09月14日
エビデンスとコンセンサス
獣医領域で10年ほど前から盛んに使われる言葉があります。
エビデンスという言葉です。
エビデンスというのは、事実、証拠といった意味ですが、科学的な分野では、論文として正式に採用された事柄と解釈されます。
したがって、獣医療では論文として報告されていない診断、治療などはそれぞれの獣医師の裁量で決められていることになり、科学的な裏付けなどは存在しないということになります。
さらに言えば、セミナーで、大学の先生や海外のその分野の第一人者が話した内容や、教科書に乗っている事柄でも、論文からの引用でないものは、経験論や持論であり、必ずしも正しいことではないということです。
もう一つ似たような言葉で、コンセンサスというものがあります。
ちょっと前に責められた大臣が『コンセンサスを得ろよ』なんて言っていましたが、総意、同意といった意味で、獣医領域では多数の専門家が診療に対して適当だと判断した診療を指します。
コンセンサスについては、最低限しなければいけない検査、治療と、これ以上は過剰診療であるという判断もされています。
コンセンサスは、参加者全員が合意した内容がコンセンサスを得られたということになり、8割9割が同意しても、同意がない人が僅かでもいればノン・コンセンサスということになります。
ですので、コンセンサスが得られたものに関しては少なくとも現在の獣医療において間違ったことではないと解釈していいでしょう。
医療、獣医療はこうしたエビデンス、あるいは少なくともコンセンサスに基づいて行われるべきものです。
しかし、実際はそれらに基づいていないで、経験といったもので行われている治療も多いのですが、当院では、できるだけそれらに従って診療致します。
逆に言えば、当院では特殊な治療は通常できませんが、もしご希望でしたらそのような治療ができるところをご紹介します。
特殊な診療、専門的な診療は大学病院等に集約して、技術の向上、データの蓄積を行っていくのが獣医療の発展には必要であり、患者様の利益につながると考えるからです。
当院が新たなエビデンスを発表することができるように、より一層努力して行かないといけませんね。
エビデンスという言葉です。
エビデンスというのは、事実、証拠といった意味ですが、科学的な分野では、論文として正式に採用された事柄と解釈されます。
したがって、獣医療では論文として報告されていない診断、治療などはそれぞれの獣医師の裁量で決められていることになり、科学的な裏付けなどは存在しないということになります。
さらに言えば、セミナーで、大学の先生や海外のその分野の第一人者が話した内容や、教科書に乗っている事柄でも、論文からの引用でないものは、経験論や持論であり、必ずしも正しいことではないということです。
もう一つ似たような言葉で、コンセンサスというものがあります。
ちょっと前に責められた大臣が『コンセンサスを得ろよ』なんて言っていましたが、総意、同意といった意味で、獣医領域では多数の専門家が診療に対して適当だと判断した診療を指します。
コンセンサスについては、最低限しなければいけない検査、治療と、これ以上は過剰診療であるという判断もされています。
コンセンサスは、参加者全員が合意した内容がコンセンサスを得られたということになり、8割9割が同意しても、同意がない人が僅かでもいればノン・コンセンサスということになります。
ですので、コンセンサスが得られたものに関しては少なくとも現在の獣医療において間違ったことではないと解釈していいでしょう。
医療、獣医療はこうしたエビデンス、あるいは少なくともコンセンサスに基づいて行われるべきものです。
しかし、実際はそれらに基づいていないで、経験といったもので行われている治療も多いのですが、当院では、できるだけそれらに従って診療致します。
逆に言えば、当院では特殊な治療は通常できませんが、もしご希望でしたらそのような治療ができるところをご紹介します。
特殊な診療、専門的な診療は大学病院等に集約して、技術の向上、データの蓄積を行っていくのが獣医療の発展には必要であり、患者様の利益につながると考えるからです。
当院が新たなエビデンスを発表することができるように、より一層努力して行かないといけませんね。
posted by sora-vet at 10:59| Comment(0)
| 医療用語