こんなHPを見つけました。
http://ishisengen.net/declaration.html
非常に面白い取り組みです。
動物病院も多くの場合、同じ思いです。
私たちは、常に動物たちに対して最良(最高ではありません)の獣医療をしたいと考えています。
しかし実際は、非常に多くの制約の中で診療をしています。
例えば往診などですが、本来であれば末期の患者さんを入院や通院で治療するべきではないと考えています。
神経質な子の場合、こうした環境の変化だけでもかなり体力を消耗すると思います。
しかし、実際に往診で可能な獣医療行為はごく限られたものでしたありません。
普段診察室ではおとなしい子でも、その子の生活範囲に入っていって診療するのは至難の業であることもあります。
ですので、申し訳ありませんが、病気の診断、治療には来院ということが最低限必要となってしまいます。
時間外診療に関してもそうです。
時間外には、一般的な動物病院ではスタッフがほぼいなくなります。
動物の診療は一人でできるものではありません。
スタッフを確保するには費用がかかりますので、完全な時間外診療をするためには患者さんに対する請求額が数万円をゆうに超えてしまいます。
また、無理をして時間外診療をすることで、通常の診療時間に来院してくださる患者様に対し、わずかでも注意力が散漫になることは十分考えられます。
こちらに関しても、可能な限り診療時間内の受診がお互いのためになると思います。
この取り組みは、医師(我々は獣医師ですが)も神ではなく、患者様と同じ人間であり、万能ではありませんが、できる限りの努力はしていきます、というものであると思います。
我々も自分たちに可能な範囲で、動物たちの健康や幸福に対して支援していきたいと思います。
2011年10月28日
もはやヒポクラテスではいられない
posted by sora-vet at 11:17| Comment(0)
| 日記
2011年10月23日
血液について−その4
今回は血小板についてお話しします。
血小板は血管の障害(出血)に対して、血液凝固因子や血管内皮細胞などと共に止血(血液凝固)に関与します。
血小板の病気はあまり多くはありません。
血小板の増多症は、あまり臨床的な意義を持たない場合が多いですが、慢性炎症などがあると増加します。
また、巨大血小板や他の血球減少症とあわせてある時は、稀な病気ですが、本態性血小板血症という骨髄疾患が疑われます。
血小板の減少症は、多くは血小板の消費によるものです。
そのなかでもDICという病態は、様々な疾患で起こりますが、非常に生命の危険のある状態で細心の注意が必要です。
これは血管内に微小な血栓ができてしまうもので、その血栓を溶かすための因子や、また血栓を新たに作るために血液凝固因子や血小板がどんどん消費されていく状態で、その血栓が臓器に出来れば多臓器不全、血小板、凝固因子が枯渇すれば出血傾向が出ます。
DICの治療には、輸血、ヘパリン療法、効果に関する議論はわかれますが蛋白分解酵素阻害剤などが使用されます。
重要なことは、DICが疑われた場合は、決して様子を見ずにでき得るすべての治療をするということだと思います。
その他には、骨髄疾患での血小板減少症や抗癌剤等による骨髄毒性、免疫介在性血小板減少症(IMTP)などがあります。
抗癌剤を使用する場合、基本的には血小板を減らすほど薬剤強度を上げるのはあまり好ましくありません。
抗癌剤等による骨髄毒性は、始めに白血球(顆粒球)、次に血小板の産生の低下を起こします。
血小板は白血球に比べると、非常に回復が悪く、場合によっては頻回の輸血が必要になります。
IMTPは現状では確定診断できる検査項目がなく、除外診断により診断します。
IMTPに関しても命に関わる病気ですので、全身の皮膚に赤い斑点や青アザが多発したり、重度の血便、血尿などが見られたときは速やかに動物病院を受診しましょう。
人間では血小板製剤だあって、安全で有効な輸血ができますが、動物では成分輸血は難しく、また、血小板の寿命は血管外では数分と持ちませんので、輸血療法も実際は暖簾に腕押しです。
入れた量の数%の血小板が働いてくれれば…、という程度しか期待できません。
したがって、動物では決して血小板を減らさないよう、常に注意が必要であり、血小板減少症は障害が起きる前にきちんと対処することが重要です。
血小板は血管の障害(出血)に対して、血液凝固因子や血管内皮細胞などと共に止血(血液凝固)に関与します。
血小板の病気はあまり多くはありません。
血小板の増多症は、あまり臨床的な意義を持たない場合が多いですが、慢性炎症などがあると増加します。
また、巨大血小板や他の血球減少症とあわせてある時は、稀な病気ですが、本態性血小板血症という骨髄疾患が疑われます。
血小板の減少症は、多くは血小板の消費によるものです。
そのなかでもDICという病態は、様々な疾患で起こりますが、非常に生命の危険のある状態で細心の注意が必要です。
これは血管内に微小な血栓ができてしまうもので、その血栓を溶かすための因子や、また血栓を新たに作るために血液凝固因子や血小板がどんどん消費されていく状態で、その血栓が臓器に出来れば多臓器不全、血小板、凝固因子が枯渇すれば出血傾向が出ます。
DICの治療には、輸血、ヘパリン療法、効果に関する議論はわかれますが蛋白分解酵素阻害剤などが使用されます。
重要なことは、DICが疑われた場合は、決して様子を見ずにでき得るすべての治療をするということだと思います。
その他には、骨髄疾患での血小板減少症や抗癌剤等による骨髄毒性、免疫介在性血小板減少症(IMTP)などがあります。
抗癌剤を使用する場合、基本的には血小板を減らすほど薬剤強度を上げるのはあまり好ましくありません。
抗癌剤等による骨髄毒性は、始めに白血球(顆粒球)、次に血小板の産生の低下を起こします。
血小板は白血球に比べると、非常に回復が悪く、場合によっては頻回の輸血が必要になります。
IMTPは現状では確定診断できる検査項目がなく、除外診断により診断します。
IMTPに関しても命に関わる病気ですので、全身の皮膚に赤い斑点や青アザが多発したり、重度の血便、血尿などが見られたときは速やかに動物病院を受診しましょう。
人間では血小板製剤だあって、安全で有効な輸血ができますが、動物では成分輸血は難しく、また、血小板の寿命は血管外では数分と持ちませんので、輸血療法も実際は暖簾に腕押しです。
入れた量の数%の血小板が働いてくれれば…、という程度しか期待できません。
したがって、動物では決して血小板を減らさないよう、常に注意が必要であり、血小板減少症は障害が起きる前にきちんと対処することが重要です。
posted by sora-vet at 10:13| Comment(0)
| 血液
2011年10月18日
血液について−その3
今回は白血球に関してお話しします。
白血球は生体防御の働きをしています。
外界から侵入した病原体や体内の異常な細胞などに対して、攻撃したり細胞内に取り込んだりして排除します。
白血球は好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球などに分類されます。
好中球、好酸球、好塩基球は骨髄で同じ細胞から産生されます。
好中球は、形態から幼若な桿状好中球と成熟した分葉核好中球に分類されます。
好中球の働きは病原体を細胞内に取り込んで無毒化することで、一般に感染があると好中球が増加すると言われていますが、感染がなくても分葉核好中球が正常の何倍にも増加することはよくあります。
また、逆に重度の感染があって、その部位で好中球が消費されている場合、血液中の好中球数は減少して、桿状核好中球の割合が増加する場合もあります。
更に重度な感染があると、本来骨髄の中にあるべき後骨髄球等が出現してくることもあります。
また、白血病は血液のガンで、がん化して幼若化した骨髄球等が多量に末梢血中で検出されます。
好酸球は寄生虫やアレルギー疾患時に増加するとされています。
好酸球は細胞内に顆粒を持っており、この顆粒を細胞外に放出して強い炎症反応を起こします。
皮膚や全身に自己免疫性の病気と考えられる好酸球性の炎症をおこすことがあり、比較的猫ではよく見られます。
また、アレルギー性の皮膚炎などの場合、皮膚表面に集まってきて強い痒みを起こしたりします。
好塩基球は正常な犬、猫ではほとんど血液中には認めません。
リンパ球はリンパ節や脾臓、循環血液中に存在し、液性免疫と言われる生体防御を主に担当しています。
リンパ球は他の白血球などに活発に働くように司令を出したり、逆に過剰に働きすぎるのを抑えたりしています。
また、ウイルスなどに対しては抗体というものを産生して細胞への侵入を妨げたり、他の白血球が破壊するのを手伝ったりします。
リンパ球は最も腫瘍化しやすい白血球で、あらゆる臓器や場所でリンパ腫という腫瘍を起こします。
リンパ腫は基本的には血液の腫瘍ですので、多くの場合は化学療法が適応になります。
また、この液性免疫が暴走してしまうと、自己免疫性疾患という様々な病気を引き起こします。
単球は生体内に侵入した病原体を取り込んで無毒化する細胞です。
また、取り込んだ病原体の特徴をリンパ球に伝えたりします。
体内に壊死があると増加すると言われています。
このように白血球の増加症では、どの働きをするは血球が、どういった形態で増えているかが非常に重要です。
また、減少している場合では赤血球や血小板と同時に判断して、診断を進めていきます。
白血球は生体防御の働きをしています。
外界から侵入した病原体や体内の異常な細胞などに対して、攻撃したり細胞内に取り込んだりして排除します。
白血球は好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球などに分類されます。
好中球、好酸球、好塩基球は骨髄で同じ細胞から産生されます。
好中球は、形態から幼若な桿状好中球と成熟した分葉核好中球に分類されます。
好中球の働きは病原体を細胞内に取り込んで無毒化することで、一般に感染があると好中球が増加すると言われていますが、感染がなくても分葉核好中球が正常の何倍にも増加することはよくあります。
また、逆に重度の感染があって、その部位で好中球が消費されている場合、血液中の好中球数は減少して、桿状核好中球の割合が増加する場合もあります。
更に重度な感染があると、本来骨髄の中にあるべき後骨髄球等が出現してくることもあります。
また、白血病は血液のガンで、がん化して幼若化した骨髄球等が多量に末梢血中で検出されます。
好酸球は寄生虫やアレルギー疾患時に増加するとされています。
好酸球は細胞内に顆粒を持っており、この顆粒を細胞外に放出して強い炎症反応を起こします。
皮膚や全身に自己免疫性の病気と考えられる好酸球性の炎症をおこすことがあり、比較的猫ではよく見られます。
また、アレルギー性の皮膚炎などの場合、皮膚表面に集まってきて強い痒みを起こしたりします。
好塩基球は正常な犬、猫ではほとんど血液中には認めません。
リンパ球はリンパ節や脾臓、循環血液中に存在し、液性免疫と言われる生体防御を主に担当しています。
リンパ球は他の白血球などに活発に働くように司令を出したり、逆に過剰に働きすぎるのを抑えたりしています。
また、ウイルスなどに対しては抗体というものを産生して細胞への侵入を妨げたり、他の白血球が破壊するのを手伝ったりします。
リンパ球は最も腫瘍化しやすい白血球で、あらゆる臓器や場所でリンパ腫という腫瘍を起こします。
リンパ腫は基本的には血液の腫瘍ですので、多くの場合は化学療法が適応になります。
また、この液性免疫が暴走してしまうと、自己免疫性疾患という様々な病気を引き起こします。
単球は生体内に侵入した病原体を取り込んで無毒化する細胞です。
また、取り込んだ病原体の特徴をリンパ球に伝えたりします。
体内に壊死があると増加すると言われています。
このように白血球の増加症では、どの働きをするは血球が、どういった形態で増えているかが非常に重要です。
また、減少している場合では赤血球や血小板と同時に判断して、診断を進めていきます。
posted by sora-vet at 11:22| Comment(0)
| 血液