肝臓は昔から沈黙の臓器などと言われています。
実際、肝疾患では、かなり重症化しないと症状を示さないことが多いです。
通常、肝臓の病気は、ひどい黄疸の症状が出ている場合を除き、スクリーニング検査によって検出されます。
血液検査で肝臓の状態を見る場合には、肝酵素の測定と肝機能の状態を評価します。
一般に肝臓の数値と言われるものは肝酵素を示すことが多く、ALT、AST、ALP、GGTなどがあります。
肝酵素の上昇は、肝臓自体がダメージを受けている指標として評価されますので、実際に肝臓がどのように悪いかや、肝臓の機能を示すものではありません。
また、肝酵素は他のホルモン性疾患や、薬剤によって非常に変動しますので、肝酵素の上昇だけで病気や治療が決定することはほとんどありません。
ただし、一般状態が良好なときは肝臓の働きを助ける薬を使ってみて、1〜2週間後に再評価することはあります。
肝機能はAlb、T.Bil、T.Cho、BUN、NH3、TBAなどで評価されます。
実際に肝臓の機能低下があるかどうかを検査するもので、こちらは場合によっては治療に直結します。
肝臓自体は、非常に再生力の高い臓器で半分以上を切除しても健康ならば1ヶ月程度で元の大きさに戻ります。
しかし、慢性疾患から肝機能が低下している場合は、特定の病気を除いてはほとんど再生しません。
そういった病気の時は肝臓の保護療法や、合併症の治療が行われます。
肝臓に対する処方食も、実際に効果があるのはこうした病気の時で、肝酵素の上昇時に使用するものではありません。
肝機能低下がなく肝酵素の上昇を認めた場合、当院では他の症状や検査数値とあわせて、ホルモン性疾患の除外を行います。
肝臓以外の病気がなく、一般状態も良好でしたら1〜2週間後に肝酵素の再評価を行います。(この間、症状がなければ治療しないことが多いです)
持続性の肝酵素の上昇を認めた場合は、レントゲンや超音波などで画像的に評価をするとともに、より感度の高い肝機能検査をします。
それでもなお診断がつかない場合は、肝臓の組織を一部採取して生検検査を検討します。
ここまでして、やっと診断がついて治療方針が立ちますが、場合によってはそれでも診断がつかないこともあります。
しかし、肝疾患はきちんとした診断に基づいた治療でないとほとんど効果がなかったり、逆に悪化させる場合がありますので血液検査のみで投薬を長期に続けることは避けたほうが良いでしょう。
2011年11月01日
肝臓の病気について
posted by sora-vet at 18:15| Comment(0)
| 肝臓
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