2012年01月09日

腫瘍の治療について

腫瘍の治療には、根治療法、緩和療法、対症療法があります。

根治療法は文字通り腫瘍を完全に治してしまう治療です。
根治療法が達成されれば、補助的な治療は必要なくなります。
治療法としては、外科手術が第一選択で、ごく一部の腫瘍に関しては放射線治療でも根治が望めます。
化学療法(抗がん剤)では、人間の白血病などは非常に強力な抗癌剤治療後に骨髄移植することで根治が望めますが、獣医領域ではアメリカの一部大学でリンパ腫に対して骨髄移植を併用して根治を達成していますが、一般的には根治はできません。
外科手術も、根治的マージンでの手術は、より広範囲に正常部分を含めて切除します。
手術が成功すれば、あとは再発、転移の経過観察のみになります。

緩和療法は、完全切除が不可能な腫瘍や、すでに転移のある腫瘍などに対して出来る限り減量し、進行を少しでも遅らせる治療です。
ですので、緩和療法ではがんとの共存を行うことになります。
いつかはがんが進行しますが、その前にがんとは全く関係ない病気や、いわゆる寿命を迎える場合もあります。
治療法は、外科療法、化学療法、放射線療法などを組み合わせて行います。
緩和療法では、腫瘍の種類や場所、大きさ、転移の程度などにより目標となる生存期間を考えて行なっていきます。
また、比較的長期生存(1年以上)を目指して治療しますので、一時的なQOLの低下を招くこともあります。
外科手術後の補助的治療を行う場合、基本的にはがん細胞が残存している前提ですので、外科手術も含めて緩和治療という位置づけになります。(はじめは根治を目指して、病理検査の結果により転移の疑いを認め、緩和治療に移行するという考えになります)
また現状では、動物に対するリンパ腫や白血病に対する抗癌剤治療も、基本的にはこの範疇に含まれます。

対症療法は、腫瘍が進行することを抑えることができない場合に、生活の質の向上させるための治療です。
例えば、明らかに肺などに転移のある乳腺腫瘍に対し、腫瘍からの出血が激しいために止血のための外科手術や、足が痛くて歩けない骨肉腫の子の痛みを除去するための断脚、口に大きな腫瘍があり、呼吸困難を起こしているこの気管切開などがあります。
対症療法というと非常に消極的に思われますが、実際には本当に楽にしてあげようと思うと外科的な治療が必要となることが多いです。
末期の患者さんに外科治療は苦しみを増やすだけに一見思われますが、より大きな痛みや苦しみを除去してあげることで、たとえ短期間でも穏やかに暮らせることも多々あります。

これらの治療法の選択には、正確な診断と病気に対するご家族に理解や考え方に基づいて行われます。
したがって、今の病気がどんなもので、どの程度進行しているかについては、きちんとした検査が必要なことはご理解ください。
posted by sora-vet at 11:22| Comment(1) | がん
この記事へのコメント
腫瘍なのか炎症などの違い、
悪性か良性か、
腫瘍の種類などが分かる検査は
難しい検査が必要ですか?
又、
検査をしてもすぐ結果はでませんか?
猫に負担が大きいのでしょうか?

CTというものを使わないとわからない部分などもあるのでしょうか?
Posted by たち at 2017年09月13日 03:15
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