2011年09月14日

エビデンスとコンセンサス

獣医領域で10年ほど前から盛んに使われる言葉があります。
エビデンスという言葉です。
エビデンスというのは、事実、証拠といった意味ですが、科学的な分野では、論文として正式に採用された事柄と解釈されます。
したがって、獣医療では論文として報告されていない診断、治療などはそれぞれの獣医師の裁量で決められていることになり、科学的な裏付けなどは存在しないということになります。
さらに言えば、セミナーで、大学の先生や海外のその分野の第一人者が話した内容や、教科書に乗っている事柄でも、論文からの引用でないものは、経験論や持論であり、必ずしも正しいことではないということです。

もう一つ似たような言葉で、コンセンサスというものがあります。
ちょっと前に責められた大臣が『コンセンサスを得ろよ』なんて言っていましたが、総意、同意といった意味で、獣医領域では多数の専門家が診療に対して適当だと判断した診療を指します。
コンセンサスについては、最低限しなければいけない検査、治療と、これ以上は過剰診療であるという判断もされています。
コンセンサスは、参加者全員が合意した内容がコンセンサスを得られたということになり、8割9割が同意しても、同意がない人が僅かでもいればノン・コンセンサスということになります。
ですので、コンセンサスが得られたものに関しては少なくとも現在の獣医療において間違ったことではないと解釈していいでしょう。

医療、獣医療はこうしたエビデンス、あるいは少なくともコンセンサスに基づいて行われるべきものです。
しかし、実際はそれらに基づいていないで、経験といったもので行われている治療も多いのですが、当院では、できるだけそれらに従って診療致します。
逆に言えば、当院では特殊な治療は通常できませんが、もしご希望でしたらそのような治療ができるところをご紹介します。
特殊な診療、専門的な診療は大学病院等に集約して、技術の向上、データの蓄積を行っていくのが獣医療の発展には必要であり、患者様の利益につながると考えるからです。

当院が新たなエビデンスを発表することができるように、より一層努力して行かないといけませんね。
posted by sora-vet at 10:59| Comment(0) | 医療用語