2012年03月14日

咬む犬の対処法

爪切りや顔を触るなど、特定のことをすると怒ったり、咬みついたりする場合は、まず病気がないかきちんと診断しましょう。
例えば歯周病が痛かったり、慢性の関節疾患を抱えている場合も多くあります。

病気が除外されたら、次は何をすると咬むかよく考えます。
別に必要ない事の場合は、やらないに越したことはないでしょう。
爪切りなどなら、動物病院やトリマーさんなどにお願いするという手もあります。
プロであれば余程の場合でない限り、咬まれずに行なってくれるはずです。

それでもどうしても必要なことの場合は、2人以上で必ず行いましょう。
また、普段のその子のテリトリー内で行うことは非常に危険です。
必ずリードでつないで、できたらテーブルの上など自由のきかない場所で行いましょう。

一つの方法としては、口輪をしてしまうことです。
病院内でも、多くの子で口輪やカラーを付けることで、それまで非常に攻撃的だった子が唸ることもしなくなるのはよくあります。

より積極的な方法としては、普段は非常にフレンドリーなこの場合には、一人が顔を見てあやしてあげている間に行う方法です。
この時には、あやしてあげている方は犬がもう一人の人に気が行かないようにします。
おやつなどでつってもよいでしょう。
そのすきに、ササッともう一人が終わらせてあげます。
犬はこの時、あやしている人に気が行っていても、何かをされたことはしっかりと分かっていて、それに対する恐怖心などが次第に低下していきます。
プラスして、遊んでもらったり、おやつをもらうというご褒美がその行為と結びついて、うまくいけば進んでそれを受け入れるようになります。

いずれの場合でも、手が付けられない状態、極端なことを言うと少しでも嫌がったら一度中断して、時間を置いて再挑戦しましょう。
また、うまくいかなくても、必ずご褒美で終わるようにしましょう。
posted by sora-vet at 18:27| Comment(0) | しつけ

2012年02月28日

咬む犬の対処法

咬む犬に対しては、逆説的になってしまいますが、『咬まれないこと』が最も重要です。
犬は、噛むことで自分の要求が通ったり、恐怖から解放されることを覚えると、とても攻撃的になります。
逆に、咬む犬でも咬まない期間を長くとってあげる事で、咬むまでの閾値が上がることが多いです。

具体的には、咬む程度によって扱いは変わってきます。

まずは近づくもの何に対しても攻撃してくる犬の場合

柵の外やリードで必ず届かない場所に座ります。
そこから大好物をその子のほうに置いてあげます。
この時に目を合わせたり、その子の方を向かないほうがいいです。
だんだんと好物を置いてあげる場所を自分に近づけます。
最終的には手から与えられるように続けます。
まだこの時点では触ったり、顔を覗き込んだりはしません。
咬みそうになったら、すぐに中止して、また一から始めます。
早い子でも1週間、なれない子だと1ヶ月以上かかると思います。
また、いつまで頑張ってもダメという場合もないわけではありません。

次に、知らない人に対して攻撃する犬の場合

知らない人に近付かせないことが重要です。
どうしても必要な場合は、制御の効く方が必ず一緒にいるようにします。
制御できるということは、犬はその方を信頼していますので、自分たちを守るために攻撃することが減ります。
その状況で、頭や身体をさわるのでなく、まずごほうびを下からあげてもらいます。
この時、咬みそうな様子があったら、口の届かないところに置いてあげてください。
先程と同様に犬の顔をはじめは見ないほうがいいです。
そして、だんだんと近付けて、最終的には手から食べさせます。
手から食べれるようになってから、食べさせながら嫌がらないところから触っていきます。
これも無理をせずに、時間をかけておこなってください。
慣れてきたら、不特定多数の人に同じようにやってもらいます。

すべてのしつけに言えることですが、我慢できなくなる寸前の所でやめてあげて、必ずご褒美をあげて終わるようにするといいと思います。

くれぐれも咬まれないように行なってください。
咬みそうになったら、ふりだしに戻りましょう。

次回は、特定のことをすると咬む場合などについてお話しします。
posted by sora-vet at 19:37| Comment(0) | しつけ

2012年02月21日

犬のしつけについて

子犬の診療をしていると、しつけに関する質問をよくお受けします。

しつけに関しては、最近は様々な方法や理論がありますが、全てのワンちゃんや飼い主さんに合う方法は基本的にはないと思います。
逆に言えば、様々な方法を順に試していって、うまく行ったものを継続することになります。

しつけをしていく上で重要なことは、

1.いくつかのやり方を併用しない
   しつけに関する本や情報はひとつに決めましょう。

2.家族全員で方針や号令などを統一する。
   相手によって、言葉や態度が変わってしまうと動物は混乱してしまいます。

3.最低でも2週間は必ず継続する。
   2週間頑張れば、多くの場合改善傾向が出てきます。

この3つを必ず守っていただくことが成功への近道です。

子犬をご自宅に迎えた時、はじめの1週間はしつけは考えずに環境に慣れてもらいましょう。
その後、1ヶ月の間は、ご家族のことを大好きになってもらう期間です。
この時期も無理なしつけや体罰はせず、子犬に名前を覚えさせてあげるといいと思います。
具体的には、ワンちゃんがこちらに興味が有るときに名前を呼んで、ご褒美をあげるようにしてください。
興味のないときに、名前を連呼するのは逆効果です。(自分の名前や号令が、ただの雑音になってしまいます。)
これは、今後あらゆるしつけをしていく上で最も重要なことです。
慣れてくると興味のないときに名前を呼ぶだけで、ご褒美なしでもすぐにこっちに来るようになると思います。
これがきちんと出来るようになれば、すべてのしつけの50%は終わったようなものです。
逆に、これができないと番犬の飼い方以外は難しいかもしれません。
子犬でなく成犬でも、しつけを改めて始めようと思ったら、攻撃的な子でなければここからはじめましょう。

次回は噛む犬に対する対処法をお話しします。
posted by sora-vet at 11:30| Comment(0) | しつけ