子犬の診療をしていると、しつけに関する質問をよくお受けします。
しつけに関しては、最近は様々な方法や理論がありますが、全てのワンちゃんや飼い主さんに合う方法は基本的にはないと思います。
逆に言えば、様々な方法を順に試していって、うまく行ったものを継続することになります。
しつけをしていく上で重要なことは、
1.いくつかのやり方を併用しない
しつけに関する本や情報はひとつに決めましょう。
2.家族全員で方針や号令などを統一する。
相手によって、言葉や態度が変わってしまうと動物は混乱してしまいます。
3.最低でも2週間は必ず継続する。
2週間頑張れば、多くの場合改善傾向が出てきます。
この3つを必ず守っていただくことが成功への近道です。
子犬をご自宅に迎えた時、はじめの1週間はしつけは考えずに環境に慣れてもらいましょう。
その後、1ヶ月の間は、ご家族のことを大好きになってもらう期間です。
この時期も無理なしつけや体罰はせず、子犬に名前を覚えさせてあげるといいと思います。
具体的には、ワンちゃんがこちらに興味が有るときに名前を呼んで、ご褒美をあげるようにしてください。
興味のないときに、名前を連呼するのは逆効果です。(自分の名前や号令が、ただの雑音になってしまいます。)
これは、今後あらゆるしつけをしていく上で最も重要なことです。
慣れてくると興味のないときに名前を呼ぶだけで、ご褒美なしでもすぐにこっちに来るようになると思います。
これがきちんと出来るようになれば、すべてのしつけの50%は終わったようなものです。
逆に、これができないと番犬の飼い方以外は難しいかもしれません。
子犬でなく成犬でも、しつけを改めて始めようと思ったら、攻撃的な子でなければここからはじめましょう。
次回は噛む犬に対する対処法をお話しします。
2012年02月21日
犬のしつけについて
posted by sora-vet at 11:30| Comment(0)
| しつけ
2012年02月07日
セカンドオピニオンを考えるタイミング
病気の診療をする際、様々な症状や検査所見から、多くの場合は確定診断は出来ずに仮診断に基づいて治療を行います。
もちろん確定診断が全ての病気で出来ればより良いですが、診断を行うことが病気自体より生体に対する侵襲が大きかったり、逆に確定診断の基準がない病気も多く存在します。(例えば軽い胃腸障害の時に内視鏡検査を行うことや、アトピー性皮膚炎は診断の前にかならず他の皮膚炎を除外するための検査、治療が必要です。)
そういった仮診断に基づいて治療を先行する場合、必ず3日程度で効果判定をしていきます。
治療の方向性があっていれば、通常の病気は完全に治らないまでも改善傾向が認められます。
3日経っても改善しない場合、
・仮診断が間違っている。
・もともと治るまでに3日以上かかる病気である。
・個体に、治療に反応しにくい別の要因がある。
のいずれかが考えられます。
そこで何らかの答えを出して、追加検査や治療の変更、診断の再検討を行なっていきます。
この前に患者さんの判断で転院されて来院されるケースがありますが、ここまではまだ診断、治療の過程で答えが出なくても仕方ない所があります。
『後医は名医』という言葉がありますが、そこで転院されてきて、それまでの経過がわかる場合には、病気の鑑別や薬の反応がわかっているので容易に診断がついてしまい、前の病院に申し訳ない気分になります。
また、経過がわからないときには検査や治療がかぶってしまい、飼い主さんには余計な経済的負担がかかってしまいます。
逆に、治療に対しての反応が悪いのに治療方針の転換や十分な説明がなされないときには、セカンドオピニオンを求めてみてもいいかもしれません。
もちろん確定診断が全ての病気で出来ればより良いですが、診断を行うことが病気自体より生体に対する侵襲が大きかったり、逆に確定診断の基準がない病気も多く存在します。(例えば軽い胃腸障害の時に内視鏡検査を行うことや、アトピー性皮膚炎は診断の前にかならず他の皮膚炎を除外するための検査、治療が必要です。)
そういった仮診断に基づいて治療を先行する場合、必ず3日程度で効果判定をしていきます。
治療の方向性があっていれば、通常の病気は完全に治らないまでも改善傾向が認められます。
3日経っても改善しない場合、
・仮診断が間違っている。
・もともと治るまでに3日以上かかる病気である。
・個体に、治療に反応しにくい別の要因がある。
のいずれかが考えられます。
そこで何らかの答えを出して、追加検査や治療の変更、診断の再検討を行なっていきます。
この前に患者さんの判断で転院されて来院されるケースがありますが、ここまではまだ診断、治療の過程で答えが出なくても仕方ない所があります。
『後医は名医』という言葉がありますが、そこで転院されてきて、それまでの経過がわかる場合には、病気の鑑別や薬の反応がわかっているので容易に診断がついてしまい、前の病院に申し訳ない気分になります。
また、経過がわからないときには検査や治療がかぶってしまい、飼い主さんには余計な経済的負担がかかってしまいます。
逆に、治療に対しての反応が悪いのに治療方針の転換や十分な説明がなされないときには、セカンドオピニオンを求めてみてもいいかもしれません。
posted by sora-vet at 09:28| Comment(347)
| 日記
2012年01月23日
DICについて
昨日参加したセミナーで、DICについてのいくつか情報を聞いてきました。
最も印象に残ったのは、現状、動物病院で検査できる項目のうち、DICになる前、あるいはDICを起こしたごく初期にそれを把握できるものはないということです。
DICは様々な感染症や腫瘍などの疾患により、免疫状態が活性化し、その結果血液の凝固系が活性化して、血液凝固因子の枯渇による出血傾向や微小な血栓を形成して多臓器不全を起こす病態です。
DICが始まっている時点では、臓器の障害や、程度の差はありますが出血傾向の兆候は出ているということになります。
したがって、DICの弊害を出さないためには、DICを起こす前に予防的なヘパリンや超低用量のアスピリン投与が重要になります。
現在、一般的な動物病院では血小板数やPT、APTTといった凝固系検査、FDPなどの検査を組み合わせてDICの診断を行なっています。
これよりも先行してDIC時に変化を認めるマーカーは、人医領域でも治験段階らしく、動物病院でベッドサイドで検査できるのはまだまだ先でしょう。
結論としては、DICが危惧される状態では、勇気を持って先行してDICの対処をすべきということでした。
食欲のある、比較的状態の良いケースでは、アスピリンという昔からある安価な薬で予防効果は期待できるということですので、より積極的にアプローチしていくことで病気の治癒率が向上することを期待します。
最も印象に残ったのは、現状、動物病院で検査できる項目のうち、DICになる前、あるいはDICを起こしたごく初期にそれを把握できるものはないということです。
DICは様々な感染症や腫瘍などの疾患により、免疫状態が活性化し、その結果血液の凝固系が活性化して、血液凝固因子の枯渇による出血傾向や微小な血栓を形成して多臓器不全を起こす病態です。
DICが始まっている時点では、臓器の障害や、程度の差はありますが出血傾向の兆候は出ているということになります。
したがって、DICの弊害を出さないためには、DICを起こす前に予防的なヘパリンや超低用量のアスピリン投与が重要になります。
現在、一般的な動物病院では血小板数やPT、APTTといった凝固系検査、FDPなどの検査を組み合わせてDICの診断を行なっています。
これよりも先行してDIC時に変化を認めるマーカーは、人医領域でも治験段階らしく、動物病院でベッドサイドで検査できるのはまだまだ先でしょう。
結論としては、DICが危惧される状態では、勇気を持って先行してDICの対処をすべきということでした。
食欲のある、比較的状態の良いケースでは、アスピリンという昔からある安価な薬で予防効果は期待できるということですので、より積極的にアプローチしていくことで病気の治癒率が向上することを期待します。
posted by sora-vet at 11:04| Comment(0)
| 血液